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「君はアントニオ猪木なんだから」大ブーイングを浴びてきた棚橋弘至を支えたスタッフの一言【篁五郎】

写真:棚橋弘至選手のXより引用

 

◾️初対面の人と話すときに気をつけていることは

 

 棚橋がIWGPヘビー級チャンピオンになった頃の新日本プロレスは、観客動員が大幅に落ち込んでおり、倒産寸前の危機にあった。

 しかし棚橋は諦めずに試合や練習の合間を縫って、熱心に営業活動へ取り組んだ。試合のプロモーションへ全国各地を渡り歩き、テレビやラジオなどにも積極的に出演。芸能事務所とも契約した。当時、初対面の人と話すときにどんなことを心がけていたのだろう。

 「プロレスを知らない人に対してのラジオだったり、イベントだったりが多かったんですよ。その場で『プロレスラーです』と言って、プロレスの説明をしても興味を持ってもらえません。だから棚橋弘至という人間に興味を持ってもらおうと思いました。そこで肉体づくりだったり、人となりや失敗したエピソードだったりを話して僕に興味を持ってもらう。それで『この人何をしているんだろう』と調べたらプロレスラーだった、という流れができればと意識していましたね」

 トークの鉄板は「恐妻」ネタだ。棚橋の奥さんは中学校の同級生で、彼をプロレスラーというフィルターなしで見てくれる存在だという。一方、やっと巡業が終わって帰宅しても、棚橋の膝の傷みなどお構いなしに愛犬の散歩をさせる「恐ろしい」存在なのだ。

 「それがいいんです。家庭に仕事を持ち込むなと言われますけど、プロレスも同じだと思います。プライベートでも試合のこととか考えると無口になってしまうので。だから(フィルターなしで見てくれるのは)とてもありがたいです」

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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